彼の最後の言葉は、 「ここにいるのは英雄ではない。 ただのひとりの男だ。 撃て!臆病者め!」 私は、彼のように命をかけてまでやり抜きたいと思う何かがあるだろうか? 少なからず彼を知り、「何かを掲げなければ何もはじまらない…
孤独について考える
「孤独」と呼ぶべきか「孤高」と表現すべきか判然しないが、著者独特の人物描写に引き込まれる作品です。 宝くじに当たった河野は会社を辞めて、碧い海が美しい敦賀に引越した。 何もしないひっそりとした生活。 そこへ居候を志願する…
心中
作品は19才の少女と精神を病んだ33才の恋人が、ドナウ川で心中した顛末を描いたノンフィクション。常に薄曇りがかかっているような話の展開に読み手の頭上に重くのしかかる。 私はなぜ人間にパンを与えることができなかったのに、 …
家訓
長編小説であるにもかかわらず、それを感じさせることのない展開と言葉の可憐さ、江國香織さんの使う言葉は彩りが含まれ、毒を持ち、それでいて美しい。 語り手がその都度、入れかわり、それぞれの視点で流れをつくってくれている。ほと…
詩の力が歌を生み出す
オノ・ヨーコのこの一冊に衝撃を受け生まれたのがあの有名な名曲「イマジン(ジョン・レノン)」です。彼女の持つ言葉の力は、ジョン・レノン以上だったのかもしれません。 この本を燃やしなさい。 読みおえたら。 『グレープフルーツ…
捨ててこそ得る
こどもから大人まで読める、心温まる一冊。おだやかな物語の中に散りばめられたメッセージが含まれています。ハルとは「1日」という意味ということもあり、日々の中で忘れかけていた懐かしい情景や物事を思い出させてくれます。 捨てて…
好きになることの代償とともに
単なる恋愛小説では物足りないと感じる人にはお薦めの一冊です。映画化にもなっており、婚約者と愛人という設定も今の時代を象徴しているかもしれません。 どんなに好きでも、どんなにいとおしくとも 添い遂げることができない人もいる…
幻(まぼろし)
かつてNHK-BSで放送されたドキュメンタリー番組撮影時での出来事が綴られたフォトエッセイになっています。ソビエト、アメリカを交えた内容になっています。 俺には俺自身のことがわからない。 いつも世界で一番不可思議なのが自…