大人になる瞬間など存在しないもの
かつて自分が子供だった頃、子供という枠組みと、大人という外の世界にはどこかに絶対的な境界線というものがあって、いつかそのラインを超える時が否応なしにやってくる。「はい、ここからあなたは大人ですよ。」そう誰かに宣告されることで、かつて見ていた大人たちのようにすべてが勝手に変わっていくものなんだろうと、どこかぼんやりと想像していた。
でも、実際にはそんなハッキリとした境界線なんて見当たらず、未成年と成人なんて言うのも、ただの言葉でしかないような・・・。親はずっと昔から親で、子供はいつまで経っても子供であるような、そんな錯覚に惑わされ気づいたときには「大人」という外の世界で迷ってばかりな日常に流れ込んでいるのかもしれません。
親になって忘れてしまっていること、かつて自分が大人に持っていた不満や怒りを、私たちは今なお忘れてしまってはいないだろうか。
家族と父親の間にいつの間にかできてしまっていた深い溝のようなものをひとつずつ埋めていくために何をすべきで、何をしてはならないのか、確認していくキッカケにしていけたらいいなと思う。『小さき者へ(新潮文庫、重松清著)』
「愛すること」と「育てること」とは、どこがどう違うんだろうな。
難しすぎて、よくわからない。
月並みな会話に「大人は宿題がなくていいよね。」なんてことがあるけれど、大人にとって人生そのものが終わりの見えない宿題のようなもの。答えのない問題を解くために、何をすべきなのか?ああでもない、こうでもないと迷い傷つきながら、人それぞれの答えを導き出そうと必死になっている。
いつまで経ってもわからない事が多すぎて眩暈がしそうになるけれど、それでも尚、自分の足で前に進んでいかなければならない。