世間のなかの無意識

世間のなかの無意識

日比谷公園を舞台に綴る、日常のなかのやり取りが描かれている。何かを期待しても大きな何かは起こらない。誰にでもあるような生活とこの世界を少し距離を置いて眺めている、そんなものがたり。 公園のベンチで長い時間ぼんやりしている...

家族について考えたくなったら・・・

家族について考えたくなったら・・・

若い時代に読んでみるのと、時を経て家庭を持って再読してみると違った後味を感じることでしょう。人生を歩んできた分だけ、家族であったりその他の言葉の受け取る重さが違うとはこういうことを言うのだと思いました。 『キッチン(角川...

孤独について考える

孤独について考える

「孤独」と呼ぶべきか「孤高」と表現すべきか判然しないが、著者独特の人物描写に引き込まれる作品です。 宝くじに当たった河野は会社を辞めて、碧い海が美しい敦賀に引越した。 何もしないひっそりとした生活。 そこへ居候を志願する...

家訓

家訓

長編小説であるにもかかわらず、それを感じさせることのない展開と言葉の可憐さ、江國香織さんの使う言葉は彩りが含まれ、毒を持ち、それでいて美しい。 語り手がその都度、入れかわり、それぞれの視点で流れをつくってくれている。ほと...

喪失の果てに

喪失の果てに

記憶というものは生きている者をいつまでも離さない。多くの場合、過去が美化されるように消えてしまったものは、いつまでもあの時のまま私たちのどこかにこびりついて離れない。切なくも温かく透き通った気持ちになる一冊です。 ふたり...

人生のピーク

人生のピーク

人生は山あり谷ありで、山を登っているときは苦しくて嫌になってばかり。谷を下っているときは不安に苛まれる。ただ平坦な道を歩んでいれば、これでいいのか?と後ろを振り返り。分かれ道に出くわせば選べないで立ち尽くす。 人間とはい...

欠片

欠片

未来よりも過去を常に匂わす作風に、懐かしさや哀愁というような印象を感じます。決して軽やかで明るい未来を嘘っぱちで描くのではなく、ただ現実の中に癒せない傷や破片を抱えながら生きていく人間模様が好きですね。 戻ることのできな...

光と影

光と影

やはり独特の世界観が包み込みますね。好きな人は好きな作風でしょう。『アフターダーク(講談社文庫、村上春樹著)』

約束というしるし

約束というしるし

誰かといつか交わした約束が、ずっと先の未来への道標になることもあると思うとぐっとくる。『約束(角川文庫、石田衣良著)』 人は誰かとの約束があるだけで つなぎ止められているのかもしれない