著者のノンフィクションを描いたような作品だが、あくまで小説というジャンルに括られている。
何かは途絶え、そして何かはつながっていく。
もちろんそんなことに意味はない。
いつかはことごとく、
手のつけられないあの虚無の中へ消え去っていくだろうから。意味はないけれど、現実はある。
それはいつも戸惑いの原因となる。
現実はやがて意味を要求するようになる。
それが際限りなく混乱の発端となる。何かと出会い、別れていく。
人は一生の中で、際限りなくそれを繰り返す。
出会いと別れ。
『優しい子よ(ポプラ文庫、大崎 善生著)』