10年後のことなんて遥か未来の未知なる世界で、せいぜい明後日くらいまでの想像しか出来なかった日々。今日を、今を、目の前に広がる世界だけをどうにかこうにか掻き分けて、気付けば明日という朝が明けていた。そんな毎日のくりかえしで、その地続きが永遠ってやつなんだろうとしか思っていなかった。『ツ、イ、ラ、ク (角川文庫、田口ランディ著)』
どこかで夢を見ていた。
時間など、機会など、
いくらでも人生には転がっているのだと感じられるほど若かったのである。
永遠なんてわからない
過去を振り返る意味なんて理解できず、前に進むことが生きるということで。後悔するようなこともなければ罪悪感さえ微塵も感じることはなく、やってはいけないことを辛うじて食い止めるのは怒られたくないからという、やはり今という時間を不本意なことに遮られたくないという理由から。
大人になると、今の位置を確認するために度々後ろを振り返る。辿ってきた道筋を眺めて、まぁ間違ってはいなかったのかなと、ほんの少し安心しなければそこからまた前に進むことに躊躇ってしまう程、大人になると臆病になっているのかもしれない。