ふたりの関係性が親密であればある程に、ほんの少しのかすり傷が致命傷と成りうることがある。心を許した相手だからこそ、信頼という太い絆が凶器となって、自らを危険に晒す危険性を孕んでいる。ひとつの疑惑が、次々と細胞を苦しめ、切っても切れない腫瘍となり神経を麻痺させてしまうだろう。『氷点 上・下(角川文庫、三浦綾子著)』
そもそも他人であるふたりが、同じことを考えて何十年も生き続けることができるという方が奇跡に近いはずなのに、人はその奇跡が当たり前のことのように叶うと信じて疑わない。
近ければ近いほどに危険が及ぶ
信頼し合ったことさえ、悲劇になることもある。