静かに問いを出し、最終的に本心をつくような感情がぶつかる。
飛び散るでもなく、壊れるでもなく、静かに足元に転がってどこに行くべきなのかもわからない。
私から見えたもの
私から見えたのは
遠くにいるあなた私から見えたのは
静かにほほえみかけるあなた私から見えたのは
そのほほえみを受ける恋人私から見えたのは
その恋人の美しさとずるさ私から見えたのは
裏切りと別離私から見えたのは
あなたの苦悩私はここで見ていただけ
ずっとずっと見ていただけ好かれても嫌われてもいい
見ているだけはいや
『雨は見ている 川は知っている(角川書店、銀色 夏生著)』