「いずれ自分の会社を立ち上げたい!」
最近は、そんなことを考えている人も少なくないかもしれませんが、個人であれ企業であれ、重要になってくるのはその本質にある“ブランド力”なのかもしれません。『小さな会社のブランド戦略(PHP研究所、村尾隆介著)』では、この”ブランド力”について考えるきっかけを与えてくれます。きっとこれからの経営には必要不可欠な要素のひとつであることは間違いないでしょう。
ブランド力とは?
“ブランド”というのは、「ファッションブランド」などの意味合いとは少し異なり、どんな商材を扱う会社にとっても企業そのものが持つ「ブランド=価値」というもので、企業の規模に関係なく持つことができます。商材がブランドであるというものに限らず、人材力であったり、サービスであったり、理念であったりと、その人や企業が持つ「核」となる部分のこと。その目に見えない部分をどう表に出せるか、認知させることができるか、そういったプロモーション的な要素も含まれると考えられます。
ただ利益を生むためのブランドではない
ブランド力とは、経営者だけに関係するものではなく、そこで働く社員にとっても重要なことであり、「会社のミッション=成すべきこと」が明確になっていなければ、仕事をする従業員にとって会社は「ただお給料をもらう場所」でしかなくなってしまう可能性があります。
「いくら求人をかけても応募がない…」なんて嘆きが、いつまでも続いているようならば、一度真剣に企業の”ブランド力”について話し合ってみる必要があるでしょう。
どんな業種や業界にも、業界トップレベルと謳われる企業には求人媒体にわざわざお金を払って求人募集を掲載しなくても、日頃から直接「御社で働きたいと思っております。」と問い合わせがあるんじゃないでしょうか。会社の福利厚生や待遇など、メリット条件を選考項目の上位に見られるのではなく、そのブランドの中で仕事がしたい。そういったわかりやすくネームバリューを見て懇願してくる求職者も多いもの。
そこで、そのような”企業が持つブランド力”こそが「良い人材が集まってくる」一番の近道であり最善の方法とも考えられます。
「会社の使命」「会社の役割」が明確であり、共感を呼ぶものであれば、未来のスタッフや協力者は自然に現れます。
このように企業の規模感に左右されない本質的な企業価値を、これからはもっと追求していく必要があります。また、時代の流れというものが大きく会社の経営には影響をしますが、その流れに固執するあまり、かえって企業が向かうべき方向性がいつまでも定められずにいたり、ブレてしまっていては行き当たりばったりの経営しか見えてこないでしょう。
会社としての価値を上げる
「コンビニの棚に来年も残る商品は全体のわずか3割」という話に象徴されるように、私たちは、異常なまでに商品ライフサイクルの早い世の中で暮らしています。
季節ごとに入れ替わる商品ラインアップだけでなく、例え同じ商品であってもリニューアルされたりパッケージが変更されたり、消費者を飽きさせない商材力に加え、信用性の上下など目に見えているスピードの何倍も早い速度で企業側は動いていかなければならない。
商品やサービスを通じてのファン作りではなく「会社自体にファンをつけていく」という発想が欠かせません。
では、「そのためには何をすれば良いのか?」。そうなった時に、「企業ロゴをリニューアルしよう。」「店舗の内装を変えよう」そういったビジュアル的にわかりやすいイメージを再編することに注力され、本質的なものではなく表面的な部分をとりあえず変化させようという手段を選んでしまいがちですが、そそのようなデザインを中心とした「部分戦略」ではなく、もっとビジネス全体を視野に入れて考えていくべきと言えるでしょう。
従業員をブランド化していく
誰にとっても「仕事」は、人生で最も長い時間を費やすもの。
そして企業のブランド力を強めていくために重要なことは、物質的なイメージ改善よりもそこで働く従業員をブランド化していくことが必要不可欠。会社の顔は、ロゴやサービス・商品自体でもありますが、そのサービスを提供するスタッフや営業スタッフこそが、お客様にとってわかりやすい企業イメージとなります。こうしたことからも、会社が目指している未来や今のミッションを現場の人間にきちんと浸透することが、何よりも重要なことも理解できるのではないでしょうか。
このように、会社の対外的なブランディングではなく、スタッフなどに対して”内向きのブランディング”を行うことを「インターナルブランディング」と呼びます。
リーダーに必要なこと
社長が服選びをするときに、ちょっと役立つ英語のことわざがあります。
Fake it till you make it.
~ なりたい自分の姿があるのなら、すでになったつもりで行動しなさい ~
社長や経営者に限らず、会社の中で尊敬や敬意を得る人の特徴は、「自分の定めた”しあわせ”に向かって具体的に歩んでいる人」ではないでしょうか?誰かの定義する「幸せ」ではなく、その人の定める「幸せ」。そのために何をすべきかをわかっていて、きちんとそれを実行し続けている人こそ、本人も周りからの印象もブレのない信念が垣間見えるものです。
このように、本書には会社というものを俯瞰して見ることや、経営者としての視点・考え方など、わかりやすく書かれています。いつか会社を立ちあげたい。そのように、考えている人がいればすぐに実践できる内容が多いので是非読んでみてください。